お知らせ - 生活保護受給世帯に対する下水道使用料等減免制度の廃止の撤回を求める声明

生活保護受給世帯に対する下水道使用料等減免制度の廃止の撤回を求める声明

カテゴリ : 
お知らせ
執筆 : 
admin 2016-5-20 16:38

 

福岡県青年司法書士協議会
会長 稲毛翔平

我々福岡県青年司法書士協議会は、社会正義の実現のため、市民の権利を擁護し、法制度の確立発展に寄与することを目的として福岡県内の司法書士の有志により構成する任意の団体です。


当協議会は、これまで「全国一斉生活保護110番」への参加、「生活保護110番」の独自開催、生活保護に関する常設相談窓口の開設、NPO法人主催の炊き出し会場での法律相談会の開催等を通じ、経済的に困窮する市民が生活保護を申請する際の同行等の支援活動を積極的に行い、また、生活保護行政の改善を目指し、関係各所に対し意見表明等を行ってきました。


今般、福岡市は、平成28年6月1日より、生活保護受給世帯に対する下水道使用料、し尿処理手数料、集落排水処理施設使用料(以下、「下水道使用料等」という。)の減免制度を廃止することを決定しました。市は、主な廃止の理由として、本来下水道使用料は生活保護法に基づき支給されている生活扶助費(生活費)の中に含まれていることから、負担の適正化を図るためと説明しています。
しかし、減免制度の廃止には、以下の理由により疑問があります。


まず、生活保護費算定の基準となる生活扶助基準が平成25年8月から平成27年4月にかけて段階的に引き下げられ、生活保護費支給額が世帯によっては最大10%減額されております。生活扶助基準の引き下げに伴い開催した相談会でも、生活保護受給者からは、「ただでさえ生活が苦しいのに、度重なる扶助基準の引き下げで今後の生活が不安だ」「60代だが、交通費を節約するために遠方に出かける際も自転車を利用する」「電気代を節約するため、夜は電灯はつけないようにしている」「食費節約のため、1日2食にしている」等の切実な声が聞かれ、現在、生活保護受給者の生活が相当逼迫している状況であることが窺えます。下水道使用料等の減免制度の廃止は、逼迫した生活保護受給世帯の生活に更なる負担を強いるものであり、到底許されるものではありません。

また、平成27年10月9日付の福岡市議会決算特別委員会記録にて、今回の決定に至る根拠が記載されていますが、生活保護水準を時給換算した数字が福岡県の最低賃金を上回っていることを根拠に、「国の適正化による見直しはもっと進めていくべきである」と述べられています。しかし、それであれば最低賃金の水準にある市民に対する施策を厚くすること等でも負担の適正化は図れるものであり、下水道使用料等減免制度の廃止決定をする根拠にはなりません。現実に憲法第25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができていないと思われる声が多数上がっている中でこのような生活保護受給世帯に対する追い討ちともいえる決定を行う根拠としては全く適当なものではありません。


その上、今回の決定に関して、福岡市は平成25年4月から5月にかけて事前にパブリックコメントを行ったとしていますが(福岡市HP「寄せられた市民の声」)、当該パブリックコメントは福岡市が掲げる「行財政改革プラン」全体に関するものであり、減免制度廃止について個別にパブリックコメントを行ったものではなく、本件に関して生活保護受給世帯を含む市民の声を適正に聞き取ったものであるとは到底言えません。


市は、地方自治法が規定する「住民の福祉の増進を図ることを基本と」する地方公共団体として、実際に生活保護受給者の生の声を聞く等の方法で生活保護受給世帯の生活実態の調査をし、減免制度の廃止が生活保護受給世帯の生活に及ぼす影響を正確に把握したうえで廃止の可否を判断すべきです。


生活保護制度は、憲法第25条に規定されている「生存権」を具体化し、すべての市民に対し、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する「最後のセーフティネット」です。しかし、全国で生活保護基準引き下げ違憲訴訟が提起されていることからも分かるように、度重なる扶助基準の引き下げにより、生活保護受給世帯の生活は苦しめられ、もはや、「最後のセーフティネット」という言い回し自体が崩壊しつつあります。このような状況下での減免制度の廃止は、生活保護受給世帯の生活をさらに圧迫するものであり、「生存権」を侵害することは明らかです。


よって、当協議会は、福岡市は、同市が行う下水道使用料等の減免制度廃止を直ちに撤回すべきであると表明します。

 

以上
 

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